ほとんどの面接で聞かれる質問のひとつに「長所と短所」があります。自分の長所が見つけられない、短所をどう答えていいかわからない、という方も多いでしょう。
本記事では、長所と短所の見つけ方と伝え方について紹介します。
面接で長所・短所を聞かれる理由
面接で長所・短所を聞かれる理由は2つ挙げられます。
理由①:企業との相性を確認するため
採用において企業が最も重視している点のひとつが「学生と企業の相性」です。ミスマッチな採用は、企業にとっても学生にとっても不利益となってしまうため、あらゆる面から相性を確認しています。
長所・短所からわかることはその人のパーソナリティーです。
例えば、個のパフォーマンスは良いけど集団行動が苦手という学生がいたとします。チームでの作業が多い企業では、コミュニケーション力が重視されるため相性が良いと言えません。この場合は基本的に個人作業でリモート勤務といった企業が相性が良いでしょう。
このように新しいメンバーとして入っても問題なく馴染めそうかを確認するために、長所・短所を通じて人となりを確認しているのです。
理由②:自己分析できているかをみるため
学校の就活セミナーで行われる最初のテーマは「自己分析」ではないでしょうか。就職活動において自己分析はとても重要な項目です。
自己分析をすることで、自分はどんなタイプの人間なのか、強み・弱みは何かを把握することができます。自分を理解し言語化することで、強みを活かしながら弱い部分をカバーできたり、苦手なことは誰かに協力してもらうことで成功することができ、学びにも繋がります。自分の強み・弱みに対して対策をしている人は「客観的に判断する力があり、課題に対する問題解決能力がある」と評価されます。
そのため企業は、自己分析をしっかり行い、それを踏まえてどんな行動をしているかを知りたいのです。
長所・短所の見つけ方
絶対に聞かれるとわかっていても中々見つけられないというのが本音ではないでしょうか。そこで長所・短所の見つけ方を3つ紹介します。
見つけ方①:過去の経験を振り返る
始めに過去の経験を振り返ってみましょう。
まず、過去の出来事で特徴的なことを洗い出します。成功したこと、失敗したこと、楽しかったこと、悲しかったことなど、記憶に残っている大きな出来事を書き出しましょう。そしてその時どんなことを思ったのか、どうしてそう思ったか、どうしてその行動をしたのかをどんどん深掘りしていきます。そうすることで自分の思考パターンや気持ちについて理解することができます。
過去の経験に沿って長所・短所を見つけると、面接で答えるときに具体的なストーリーと共に話せることがメリットです。
見つけ方②:自分の特徴をリストアップする
長所・短所を知るためには、自分の特徴を知ることが大切です。「飽きっぽい」「熱中しやすい」「なんでも引き受ける」など思いつくことを書き出すと、特徴が浮き出てきます。
どんな特徴を書き出したらいいかわからないという方は、自己分析ツールを使うのも手です。就活で活用するための分析ツールもあるので自分にあったものを探しましょう。
ただ、自己分析ツールで出た結果を全て鵜呑みにするのは危険です。あくまでも参考にしてみてください。
見つけ方③:家族・友人に聞いてみる
見つけ方①②を使ってもどうしても自分の長所・短所がわからないという方は、家族や友人など周りの人に聞いてみましょう。
また家族や友人だけでなく、学校の先生やバイト先の人など様々な人に聞いてみると、いろんな場面でのあなたを知ることができます。自分にとっては当たり前だと思って行動していることでも、他人から見るとすごいことである場合も多く、自分が長所と自覚していなかった部分に気付けることもあります。
「今就職活動していて、長所と短所を知りたいんだけど正直に教えてほしい」とお願いして他己分析に協力してもらいましょう。
長所・短所の伝え方
長所・短所を見つけたら、伝え方をマスターしましょう。
長所と短所を絞って答える
長所と短所をリストアップしていたら「思っていたよりもたくさん見つかった」ということもあるでしょう。ですが、あれもこれもと伝えるのはNG。ひとつずつ答えるようにしましょう。
自分が最も自分らしいと思えて、納得感のある答えを面接で伝えると良いでしょう。また、企業ごとに求める人物像が違うので、企業に合わせて答えを変えることもおすすめです。
短所は克服する努力・言い換えれば強みになることを伝える
長所は自分にとってプラスの要素ですが、短所はマイナスの要素。それをいかにプラスの要素に変えられるかがポイントです。
例えば短所が「強く自己主張ができない」だとします。長所として言い換えるなら「協調性がある」「傾聴力がある」などです。
「協調性があり、グループワークなどでは聞き手に周り、全員の意見を取りまとめて一つの意見に導きました。ただ、強く自己主張できないことが短所で、同じような意見が出たときに自分の意見を言うなど心がけています。」といったように、克服する努力も合わせて答えるとなお良いでしょう。
ビジネスシーンで役立ちそうな長所・短所にする
リストアップした長所・短所の中から、ビジネスシーンで役立ちそうなものを選ぶことも重要です。経済産業省が提唱する「社会人基礎力」を参考に選んでみましょう。
「社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年に提唱しました。 引用:経済産業省
前に踏み出す力:主体性・働きかけ力・実行力
考え抜く力:課題発見力・計画力・想像力
チームで働く力:発信力・傾聴力・柔軟性・状況把握力・起立性・ストレスコントロール力
長所と短所で矛盾しない内容を選ぶ
長所・短所を答えるときには両者の内容が矛盾していないかを確認することも重要です。
例えば長所として「リーダーシップがある」を挙げているのに、短所として「自分の意見を主張できない」としてしまうと内容が矛盾してしまっています。矛盾した答えだと自己分析がしっかり行われていない印象がつくだけでなく、客観的思考・論理的思考が不十分だといったマイナスイメージに繋がりかねません。
長所と短所は表裏一体です。長所の裏返しになる短所、短所の裏返しになる長所を意識して選択しましょう。先ほどの長所が「リーダーシップがある」を例とすると、短所として言い換えるなら「独断で進めてしまう」「自己主張しすぎる」などがあります。
長所・短所の例文
長所・短所を伝えるために「結論・理由・エピソード・未来」の4つを意識して伝えましょう。
結論から述べることで強い印象を持たせることができます。また抽象的ではなくはっきりと伝えましょう。
そして具体的なエピソードや未来に繋がる回答をします。その長所・短所の根拠づけて、説得力を持たせましょう。
例文①:責任感が長所の場合
「私の長所は責任感があることです。主にグループ活動や期限のある作業では、チームの仲間を率いてプロジェクトを進める役割を担っていました。
例えば、私が大学のゼミでゼミ長を務めていたとき、ゼミの中のひとつのチームの研究スケジュールが遅れていたことがありました。そこで私は、遅れているチームのメンバー全員に話を聞き、課題点を見つけることができました。そして課題を改善できるように自身も協力し、決められた期限内に成果をまとめることができたのです。
このように、私は社会人になっても自身に与えられた責任を全うし、御社に貢献して参りたいと考えています。」
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例文②:協調性が長所の場合
「私の長所は協調性があることです。大学内での活動以外にも、アルバイトや課外でのプロジェクトといった新しい環境に馴染み、すぐに役割を見つけることができていました。
私は大学内で自然環境について研究していたのですが、その際にゴミを楽しみながらなくすボランティア団体に興味を持ちました。社会人なども参加する団体でしたが、先に活動していた先輩から話を聞いたり、私のすぐに後に入ってきた人たちと協力していったりしたおかげで環境にもすぐに慣れ、団体内でも役割を担うことができました。さらに課題が発見された際には、対立意見に対して新たな意見を投げかけることでメンバーの視野を広げ、例年よりも2倍の効率アップをチームで達成しました。
御社でも、たくさんの部署があるとお伺いしました。私はどんな環境でも自身の長所を活かし、御社で成果をきちんと残していきたいと考えています。」
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例文③:心配性な点が短所の場合
「私の短所は心配性なところです。自分が行ったことに対して、つい大丈夫だったかと考えてしまう考え方の癖があります。この短所を改善したいと考えていたところ、この短所を活かせないかと思いました。私はとても心配性ですが、心配性なために細かな作業でもミスなくこなせることに気づきました。だからこそ、心配性な性格に対して悩みすぎず、慎重に物事を進められると捉えて複雑な仕事にもチャレンジするよう心がけています。」
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例文④:頑固な点が短所の場合
「私の短所は頑固な性格です。自分が一度決めたことに対して固執しがちな面があります。しかし、就職活動を続ける中で、様々な面接官や同じ候補者の方と出会い、自分にはより広い視野が必要だということに気付きました。これから仕事をしていく上でも、関わる人々が「なぜそのようなことを言ったのか」という意図を汲み取り、多くの意見を取り入れてプロジェクトを成功に導けるように注意しています。」
就レポ
長所と短所は企業の求める人物像に合わせて選ぼう
長所と短所は1人ひとつではなくたくさん持っているものです。企業が求める人物像はどんなものか企業分析をしっかり行い、自分のどんな特性が合っているのかを見つけましょう。
また、インターンシップに参加することで企業の求める人物像がわかったり、企業との相性を測ることができます。
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